このアルバムと、それに続いたデヴィッドトゥープのコンピは、かなりよく聴いてた。多ジャンルにまたがった自分の好きな音楽をひとつのミックスにまとめてくれていて、その世界観が好きだった。なんせ、キングタビー、エイフェックスツイン、マイルス、オーネット、マイブラ、ベルベッツ、ペーターブロッツマン、サンラなどなど、と民族音楽とかフィールドレコーディングがつながっていて、ずっと欲しかったものを作ってもらった感じだった。でもこの10年かそれ以上、気がつくとあまり聴かなくなってた。
理由を考えてみる。このアルバムの世界観を自分なりの言葉にすると「音楽の構造から見た異物、割り切れない残余に大きな価値を見出す」という態度だと思う。だから、謎があり、ノイズがあり、複雑なハーモニーは最後には自然界の音に回帰する、というミックスだと自分は解釈した。でもなー、ここ何年かは、もっと割り切れる、全体の構造がクリアに見えてるもののほうが楽しいんだなあ。どうせ世界は割り切れないんなら、見事に割り切れるものを人工的に作り上げる営為は貴重だし力量も要求される。
自分が世間の流行に一時的に流されてるのか、リスナーとして少し成長した結果なのか、まだわからない。まあここに収められてる人達の音楽は、それでも好きで時々聴くことと思う。